🔰フラメンコを楽しもう!/ライブが深まる3つの知識

2019年8月30日🔰カンタン知識でフラメンコを楽しむ!

フラメンコといえば、派手な衣装に身を包んだ女性がバラをくわえて手拍子を打つ…そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

バラをくわえたバイレを観たことはありませんし、実際にくわえることはないのですが、情熱的なイメージとしては近いものがあるかもしれません。

ここでは、フラメンコのライブを楽しむための3つのポイントを紹介します。心に留めておけば、ライブがより楽しめること間違いなしです。

フラメンコのステージは「3つのパートで構成」される

フラメンコのライブは、基本的に次の3つのパートによって成り立ちます。

・バイレ:踊り手
・カンテ:歌い手
・ギターラ:ギター


この3人がそれぞれ、フラメンコ特有のリズムである「コンパス」を土台として、心を合わせてライブを展開します。

「それぞれが持つ特有の世界観の中で、ギター、カンテ、バイレがお互いに空気感を共有しながら会話のキャッチボールを交わすこと(カンテのダニエル・リコ曰く)」を「三位一体」といい、そうして3つのパートが融合した時は、他のライブでは観られない濃密な舞台が展開します。

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20190318@西日暮里 アルハムブラ/JPカルロス企画のライブにて/このライブで歌っていたカンテのダニエル・リコが言うには、「ここはリハーサルでやってない部分で、本番中にテンションが高ぶって、お互いにコミュニケーションを取っているところ」だそうです。こんなシーンはフラメンコならではで、こうしてライブの熱が高まっていくのです。

当サイトでは、それぞれのパートを上記の呼び名、バイレ=(B)、カンテ=(C)、ギターラ=(G)と記載しています。他にも、パルマ=(P)、バイオリン=(V)、カホン=(Ca)などの表記があります。

フラメンコのライブは「アドリブ」!

フラメンコの踊り、歌、ギターは、他のダンスと違って、曲の頭から最後まで何をやるか決まっているわけではありません。その時その時の気分やテンション、曲の展開次第で、歌もギターも、踊りの振り付けさえも変わっていきます。

つまり、ライブの大部分はアドリブで形成されているのです。

そのため、盛り上がってきたら出演者全員のセンスが爆発し、音や空気が幾重にも重なって見えることもあります。そんな時は観客も盛り上がっているので、会場全体が非常に熱い熱気に包まれます。

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20190317@浅草橋 ラ バリーカ/徳田 志帆(B)、クーロ・バルデペーニャス(C)/舞台のテンションが上がってくると、カンテが立ち上がって歌うこともあります。何が起こるか出演者にもわからない、それもフラメンコのライブの楽しさです。

バイレの性格や踊りの経歴が垣間見えてしまうのも、アドリブのフラメンコならではです。丁寧に踊る、激しく踊る、そんなところに性格が見えますし、次々に違う振りを繰り出してきて、それが曲と踊りの流れに見事にマッチしていたり、余裕を持ってバックと遊び始めたりしたら、経験豊かな人と見ることもできます。

出演者にとっては、性格まで見られてしまうのは怖いかもしれませんが、だからこそフラメンコは楽しいし、魅力的なのです。

ライブで「主に上演される曲種は9つ」程度

フラメンコは19世紀前半ごろからスペインで定着しはじめたとされています。今日までの長い間に、フラメンコというジャンルの中で、多くの曲が生まれてきたことでしょう。

「曲も踊りもいろんな種類がありそうで、見慣れていない人には覚えるのも大変そう…」なんて思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。

主にライブで主に上演される曲種は意外にも少なく、9種類程度です。ライブが1部と2部に分かれている場合、同じ曲が上演されることもあります。

上で紹介したように、フラメンコはアドリブで進行するので、同じ曲でもバイレやその場のノリが違えば全然違うものになります。

以下にフラメンコの主な曲を紹介します。それぞれの曲の意味、曲に込められた思いを理解して観れば、よりライブが楽しくなるでしょう。

●アレグリアス
「喜び」の意味を持つ、活発で華やかな曲。しかし明るいだけではなく、曲の中盤には「シレンシオ」という静かな部分があります。そこを通過すると「人生の喜びは苦しみを乗り越えてこそ」、そんな思いにさせられます。

●ガロティン
「コルドベス」という帽子を使って踊る特徴的な曲。明るく華やかで、男性を軽くあしらうような愛らしい強さがあったり、コケティッシュな動作があったりと、女性らしい魅力に溢れています。

●グアヒーラ
「アバニコ」という扇子を持って踊ります。元はキューバの民謡で、スペインに持ち帰られてフラメンコで踊られるようになったとされています。ガロティンよりも女性的でしなやかで、恋する女性の姿が見えたりすることもあります。

●シギリージャ
特徴的な変則5拍子の曲。簡素でありながら厳格で、変拍子に合わせたうねるような動作、重々しいギターなどが印象的です。曲の最初、または途中に、歌とギターを叩くだけの簡素な曲マルティネーテが挿入されることもあります。

●ソレア
孤独をテーマとした曲で、フラメンコの原型とも言われています。深みと威厳に満ち、悲壮感漂うギターの調べに乗せてバイレが切なく、また激しく踊り、観客を引き込む魅力に溢れています。

●ソレア・ポル・ブレリア
ブレリアという曲のリズムに合わせたソレア。ソレアよりアップテンポなため、自然とバイレの動作も激しく、鋭くなります。

●タラント
炭鉱で働く炭鉱夫たちの嘆きの歌が元になったとされています。不協和音が随所に挿入され、その中に嘆きを見て取ることも出来ますが、あるバイレがエプロンを着けて踊った時には「炭鉱で働く息子を思う母の姿」が見えて泣けました。

●ティエント
「手探り」や「誘惑」をテーマとした緩急に富んだ曲。哀愁漂うギターで始まったと思ったらいきなりバイレが激しく早い足を打ち、その迫力に圧倒されることもしばしばです。

●セビジャーナス
ライブの最初、または最後などに、バイレ全員で踊る曲。2人1組だったり、出演者の数によって3人1組だったりパターンも様々です。ライブの最初に上演される時は、この曲で上手い人を見つけてソロをしっかり見る、といった楽しみ方もできます。セビリア周辺の民謡や踊りがルーツとされています。

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20190213@西日暮里 アルハムブラ/屋良有子教室 生徒Live/全員で踊る華やかなセビジャーナス。