フラメンコを見ていて、泣く時がある。
ピュアだったり、真っ直ぐな気持ちだったり。すべての人が持つであろう愛すべき魂。そういったものが踊りによって昇華し、光を放つまでに純度が高まったのを目の当たりにした時、まるで神々しいものに触れたように、自然と涙が溢れてくるのだ。
「15年で初めてのソロなので、集中します」
ライブの数日前、彼女がそうメッセンジャーで伝えてきた。ああ、やられるなと思った。
かつて、心のすべてが奪われるような吸引力を持つシギリージャで僕を畏怖させ。生命を持ったかのように美しく、雄大にマントンを翻し僕の涙腺を崩壊させたバイレ、二村広美さん。
類まれな集中力を持ち、踊っている時の没入感は彼女ならではだ。彼女が踊りに入り込む時、同時に見るものを巻き込んで、その世界に引きずり込んでしまうのだ。
そんな彼女が「集中する」というのだから、ライブが始まったら最後、二村広美の世界に身も心も奪われてしまうに違いない。
そして昨日。二村広美さんのソロライブが開催された。僕はもちろん、彼女の世界に引きずり込まれるために会場へ――

当日のプロラムです。広美さんは4曲踊りました。