時に熱く、時に愛に満ちた伝統的なフラメンコを迸らせるロシオと、その枠にとらわれず新たな世界を作り出そうとするロシオ。両者の対比がこのドキュメンタリーに深みを与え、同時にそれらを1人のアーティストが作り出す姿を見た時、人として、また創作に携わる者として、感服せずにはいられなかった。
ドキュメンタリーが進行する過程で、彼女の創作への姿勢や、創作へと突き動かすモチベーションなども語られる。ネタバレは避けたいので割愛するけれども、ロシオ・モリーナという偉大なアーティストの生き様がこのドキュメンタリーに詰め込まれていることは確かだ。
映画のラストは、シャイヨー国立舞踊劇場での舞台のシーンで締めくくられる。そこで彼女は、ミステリアスな空気を放ちながら舞い、同時に眩い光を放っていた。
光と闇、昨日と今日が混在する、暁の景色のように。
今年3月7日に予定されていたロシオ・モリーナ舞踊団の来日公演は残念ながら中止となってしまったが、公演に行く予定だった方や興味があった方、またフラメンコを深く愛する方やジャンルを問わず創作活動に携わる方に、この映画をオススメしたい。
またシャイヨー国立舞踊劇場で上演された『カイーダ・デル・シエロ』のライブ映像の上映が急遽決定した。タイトルは『ロシオ・モリーナLIVE―カイーダ・デル・シエロ』で、今回紹介した『衝動―世界で唯一のダンサオーラ』と合わせて観るのも面白そうだ。詳細は下の公式サイトから御覧くださいませ!
