🔰ライブで観るべき3つのポイント

2024年1月15日🔰カンタン知識でフラメンコを楽しむ!

フラメンコのライブに来てみた! でも…どこを観て楽しめばいいの!?

ライブを初めて観る方の中には、そんなふうに思う方もいらっしゃるかもしれません。かくいうS.Horiもそうでした。最初のうちは綺麗な衣装や踊り手さんの容姿など、外見的な部分ばかり見ていたものです。

もちろんそれでも構いません。フラメンコの見方は人それぞれで、フラメンコを習っている方なら技術的な部分を見るでしょうし、楽器をやっている方なら音に耳を傾けるでしょう。自分が楽しいと思う見方をすればオッケーです!

カンテの歌をしっかり聴こう!

最初に知っていただきたいのは、フラメンコで重要なのはカンテである、ということです。「フラメンコ=踊り」というイメージがありますが、実はフラメンコは歌、つまりカンテが元となって始まったのです。

そのため、カンテは舞台の上に世界を作り出すとても重要な存在となります。実力のあるカンテさんなら口を開いただけで世界が現れることもあります。歌を聴きながら観れば、より深くフラメンコを楽しめるでしょう。

全体のリズムは合っているか、世界は融合しているか、そんなところまで意識が行くようになると、もっとフラメンコが楽しめるようになります。

バイレの“観るポイント”はココ!

しかしカンテやギターについて語り始めると奥が深すぎるので、ここでは主にバイレの“観るポイント”について解説していきましょう。

踊っているバイレさんを観て、感じて楽しむためには、感じるものが多くある部分に意識を向けるのがオススメです。S.Horiのオススメ“観るポイント”は、
・表情
・腕~指先
・足
の3つです。

上で書いたように、全体を観たり、音を聞くことも大切なので、Shoriは「カンテ、ギターを聞き、舞台の空気や世界を感じながら、踊り手さん全体をゆるやかに観る」、そして「感じるものが多くあるポイントに意識を移す」という見方をしています。

自分なりの“観るポイント”や、自分に合った見方を見つけて、フラメンコを心ゆくまで楽しんでください!

踊り手さんの感情が伝わる「表情」

怒ったり、泣いたり、笑ったり。表情はもっとも原始的で単純で、誰にでも伝わる表現だと僕は思っています。

フラメンコのライブでも表情は大切なポイントです。アレグリアスなら輝くような笑顔、ソレアなら眉間に皺を寄せた苦悶の表情などで、ギターやカンテの歌と相まって、それぞれの曲の空気をより深めてくれます。


20190413@西日暮里 アルハムブラ/二村 広美(B)/輝くような笑顔で踊るアレグリアス。この笑顔を見ているだけで自然と楽しくなり、嫌なことも忘れてしまいます。

しかし、誰もが決まった表情をするわけではありません。無表情でミステリアスな空気を漂わせたり、射るような鋭い視線を飛ばしたりすることもあります。表情にも踊り手さんの個性が出るのです。


20190120@西日暮里 アルハムブラ/林 由美子(B)/曲はソレア。孤独に抗うかのような表情に、グッと心を掴まれます。

また表情から、踊り手さんの心情が読み取れることもあります。例えばバックとズレた時に「やっちゃった!」という顔をしたり、バックとピッタリ合ってノッてきたらソレアでも笑顔になったりします。表情で舞台の空気なども伝わってくるので、ぜひ注目してみて下さい。

空間に世界を描く「腕~指先」

腕は専門用語で「ブラソ」といいます。上手な人になると、肩から腕、手首の動きに鮮やかな緩急がつき、そのため上半身の周囲の空気が膨らんで見えることもあります。その動きと漂う空気に心奪われることが多々あるのです。

手首から先の部位は、専門用語で「マノ」と言います。指先までを含め、細やかだったり力強かったり、様々な表情を見せます。熟練の踊り手さんになると、その指の動きに心が撫でられているような気分になることもあります。


20190419@高円寺 カサ・デ・エスペランサ/畑中 美里(B)/薄暗い舞台で、光に照らされて指が白く輝く様は、つい見入ってしまう魅力があります。

特に集中している踊り手さんの指は、その先まで気持ちが籠もっているのがわかります。身体的には細くて小さな部位ですが、そうなるとその存在感と美しさに見惚れてしまうほど見ごたえのあるポイントとなります。

床の上で煌めく「足」

フラメンコでは、打楽器のように足で床を打って音を出します。それぞれの曲中には足の技を披露する箇所「エスコビージャ」もあり、フラメンコの重要な“観るポイント”です。

足を打つ時は、大抵はファルダの裾を上げて足を露出させ、観客にハッキリ見えるように打ちます。上手い人なら足を下ろす角度や、甲を伸ばした時の角度なども非常に美しく、足音とギターがピッタリ合った時には煌めいて見えるほどです。


20190314@西日暮里 アルハムブラ/加藤 明日香(B)/ファルダを上げて足を打っているシーンです。普段こういう写真は撮らないのですが、その美しさと音色に魅入られてシャッターを切ってしまったようです。

つま先で床を擦って小さな音を出したり、円を描きながら床を擦ったり、あるいはヒールで立ったまま足を打ち続けたり。足にも色々な技があるので見逃さないようにしましょう!


20190318@西日暮里 アルハムブラ/佐藤 美由紀(B)/時にはこんな大技が繰り出されることもあります。大胆な足技に、観ている方のテンションも上がることでしょう。

他の人はどんなふうにライブを観ている?

ここまで、S.Horiの“観るポイント”を紹介してきました。では他の人はどんな見方をしているのでしょうか? 色々な人に聞いてみたので、ライブ鑑賞の参考にしてくださいね!

●フラメンコを習っている某タブラオのスタッフさん
まだ習いたてて深くは見られないんですけど、華やかな衣装やアクセサリー、髪型はやっぱり気になりますね! 素敵なアクセサリーをしている人には「どこで買いましたか!?」って聞いちゃったり。お化粧の仕方も、踊り手さんがその曲をどう見せたいかで変わるのでチェックしてます!
 
●フラメンコは鑑賞専門さん
フラメンコは己を表現するものだと思っています。ですからその人自身が踊りに出ているか、それが伝わってくるか、また心が籠もっているかに注目しています。出演者全員の心がひとつになった時は、言葉で表せないほどの素晴らしいライブになりますよ!
 
●フラメンコ教室講師Aさん
全体としては、歌の入り方やギターのメロディ、サパテアードの部分など、曲の構成を見ますね。印象に残るリズムがあれば、音符にしてメモすることもあります。バイレに関しては、歌やギターにどう反応しているかなどの“センティード(感覚、センスという意味)”を見ます。
 
●フラメンコ教室講師Bさん
私はフラメンコは、観るというより“感じる”ようにしています。変わっているかもしれませんが、すごい人の舞台でも技術って目に入らなくて…あえて言うなら、空気感を観る、という感じでしょうか。