新型コロナウイルスは、時も場所も選ばない。春の香が漂い始めた3月も、相変わらず猛威をふるい続けている。卒業式をはじめ、人生の区切りとなるイベントが集中する時期だけに影響は大きく、規模を縮小したり、中止となったイベントも多くあると聞く。
そんな中にあって、苦悩しながらも決行されたひとつのイベントがあった。「東京大学フラメンコ舞踏団 卒業公演2021」だ。
卒業公演は、就活や卒論などで忙しい時期に準備を行なう。それに加えて新型コロナウイルスの影響で、昨年からスタートするはずの練習もままならなかったという。
何度も中止を考えた。代表の山崎双葉さんは語る。「やるかやらないか分からない状態が続くと、モチベーションを保てない」。自分が立つ予定だった1月、2月の舞台も直前で中止になった。しかしそれが、双葉さんの心を強く動かした。「卒業公演は絶対ギリギリで判断したくない」と。
2月の頭に皆で話し合った。やめてもいいんじゃないか、という仲間もいた。しかし話し合う中でお互いがお互いのモチベーションを引き上げ、ついに“開催”の判断に至った。
先生や仲間とともに汗を流し、切磋琢磨し積み上げてきたものを披露する。卒業公演は、彼らにとっての集大成だ。苦悩を乗り越えた彼らが全てをぶつけた卒業公演は、心に響く舞台となった。