■20211123/全国から若人が集結した最強最高の公演「Pasion ~若きフラメンカたち~」を沼津で観覧!

2022年2月3日フラメンコ, ライブレポート

20211123日、去年の話で恐縮ですが。

フラメンコを見始めて12年目(たぶん)にして初めて、観覧のため遠征して参りました。フラメンコのライブは都内のタブラオやホールで観ることが多く、行ってもお隣の神奈川県がせいぜいでしたが、今回はなんと! 静岡県の沼津まで足を運びました。

出不精でめんどくさがりのS.Horiにそうまでさせた公演のタイトルはコレです、「Pasion ~若きフラメンカたち~」!

発起人はバイラオーラの久保田晴菜さん。各地のホールで様々な公演に出演したり、また「めざましテレビ」のコーナー「キラビト!」に出演しフラメンコの魅力を伝えたり、各方面で大活躍中で、2021年9月のミルフラ!企画ライブにもご出演いただいています。
(晴菜さん出演の「キラビト!」の映像はこちら!→https://www.youtube.com/watch?v=ScAju8a3eXg

文化庁の「ARTS for the future!」事業に採択されたことをきっかけに「コロナで打撃を受けているフラメンコを若い力で盛り上げよう!」とこの一大イベントをスタートさせたそうです。

晴菜さんの呼びかけに、35歳以下の若手のアーティストたちが全国から集結。さらにカンテの川島桂子さんらベテランアーティストもゲストとして参戦し、総計31名という大所帯に発展。濃くて分厚い公演になるであろうことは、もう間違いなしです。

が「この公演に行く!」と決めた理由はといえば、「好きな踊り手さん、応援している人がいっぱい出ているから」。えぇ、単純です(笑)。

それからFacebookでも書きましたが、若いアーティストの皆さんがこれだけの規模で集まるのは恐らく初めてでしょう。何かを一緒に作ることで“絆”が生まれ、この公演を起点として若い人たちがどんどん新しいことをやり始めるのではないか、この公演が未来に向けたターニングポイントになるのではないか、ならば観るっきゃない! そんなふうに思ったからです。

そして当日、新幹線に乗って沼津にGO

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到着した会場の沼津市民文化センター小ホールでは、入場を待つお客様が長蛇の列を作っていました。“小ホール”と言っても500人以上入るらしく、それがほぼ埋まるほどの盛況ぶり。もうこの時点で「やったね!晴菜ちゃん!」と心の中で拍手です。

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もちろん!公演もたっぷり楽しませていただきました。以下そのレポートです!

公演写真提供/芦澤利紀
掲載している写真の無断転載は固くお断りいたします。

第1部

ヴィンクーロ ~呼応~/オープニング

オープニング「ヴィンクーロ ~呼応~」は暗い舞台の中央で、スポットライトに照らされた出水宏輝さんが踊るシーンからスタート。実は出水さんは新人公演で拝見していて、その時「めっちゃオーラ出てる!」と感動させられたので、僕としてはいきなり心を掴まれた感じです。

ビシッと決めてくれた出水さんに続いて、瀬戸口琴葉さんと沖真悠子さんが高らかに靴音を響かせ、晴菜さんと岡村友美さんはバストンを巧みに操り、ヴォダルツ・クララさんと脇川愛さんはパリージョで聞かせる、といった具合に、スポットの中でそれぞれが音と舞と技を披露してくれました。

このオープニングは、フラメンコを知らない人に向けて「フラメンコってこういうことをする踊りなんですよ~」と暗に説明しているようにも思える納得の構成でした。

そしてここから濃ゆい演目が続きます!

ソレア/佐藤陽美

開演前のコメントでは、「大好きなフラメンコ。明るい、暗い、様々な曲があり、中でも『ソレア』は『孤独』という名の通り、暗くて切ない印象がありますが、最後はどんな苦境の中でも頑張って生きていく、そんな展開があるこの曲がわたしは好きです」と語っていました。
本番では川島佳子さんの歌を受けて、落ち着いて自分の踊りを踊っている印象。舞台を大きく使い、のびのびと踊る彼女の身体には、ソレアという曲が染み込み、馴染んでいるように見えました。

サパテアード/Masataka Suganuma

2017年にセビーリャ国際ギターコンクールで優勝した菅沼聖隆さんのギターソロ。明るい曲調で、音の揺れ、強弱がとても魅力的に響く素敵な一曲でした。愛おしい人をしっかりと抱くようにギターを抱える姿にも、好感が持てました。

ロンデーニャ/ヴォダルツ・クララ

舞台横の壁沿いに伸びた花道から、鳴り響くパリージョにスポットを当てて登場。「今回の公演では、私自身大きな挑戦となるクラシコのソロを踊ります。ギターとバイオリンが奏でる素晴らしい音楽にカスタネットを合わせて、フラメンコとはまた一味違ったスペイン舞踊の魅力を表現できればと思っています!」
開演前のコメントの通り、バックとパリージョ、また足のコンビネーションは素晴らしかったです。スラッと伸びた手足で舞う姿も美しく、まるでバレエを観ているようでした。身体を回転させ止めた後、ふわっと広がったファルダが遅れて止まる様子が印象的でした。

タラント/脇川愛

ミルフラ!企画でもおなじみの脇川愛さんは踊り込んだこの曲。「タラントは、鉱夫の嘆きの歌が起源といわれ、鉱山で働く人達や家族の、命の不安や苦悩の全てが現れた美しい唄です。コロナ禍で苦しい中、私が1番踊ってきた曲がタラントで、今回そのような気持ちを舞台の上で表現できたらと思います」と開演前に語っていました。
川島桂子さんの揺らぐ歌声や、三木重人さんのバイオリンによく合っていると同時に、刃の上で踊っているような緊張感、気迫がありました。“踏み外したら終わり”、そんなタラントの不安がとてもよく出ていたと思います。

ソレア・ポル・ブレリア/小谷野宏司、出水宏輝

タイトにピシピシ踊る出水さんと、音を聞きながらゆったり踊る小谷野さんはまったく別のタイプに見えるのですが、その2人が時に掛け合い、時に息を合わせて踊る姿はかなり見応えがありました! はける前に、小谷野さんが出水さんと肩を組んだシーンは、思わず胸が熱くなりました。

グァヒーラ

出演:久保田晴菜、ヴォダルツ・クララ、瀬戸口琴葉、佐藤陽美、脇川愛
今回ソロを踊ったメインの踊り手さん5名による群舞で、衣装はおそろい、アバニコは色違いというコーディネイト。皆さん実力があるだけに足も振りもピッタリ合っていて、華やかかつ爽快! 優しげな永潟三貴生さんの歌と三木さんのバイオリンが、この艶やかな舞台をさらに盛り上げてくれました。

第2部

フィエスタ・ポル・ブレリアス

2部のオープニングは、スペインの酒場をイメージした「フィエスタ・ポル・ブレリアス」。若手アーティストが大勢登場し、思い思いに踊ったり、手を叩いて囃したりするアドリブ全開の演目でした。

JURINAさん、荒濱早絵さんといった各地のタブラオで活躍中の方も踊りましたし、ギターを取り上げられて徳永康次郎さんが踊らされるシーンも。康次郎さんはベテランアーティストと一緒に公演の全曲を弾き、さらにはこのフィエスタの音楽監修もして踊りまで! と大活躍だったそうです。

スペインの陽気な酒場にいるような気分にさせられる秀逸な演目でした。そして2部へ本格突入です!

シギリージャ/小松美保、福嶋隆児

セットの転換のため一度降りた幕の前で、晴菜さんと同じく沼津出身の小松美保さんがカンテソロを披露。美保さん独特の揺れる声に、しっかりと旋律をたどるギターが絡み合います。賑やかなフィエスタの直後でしたが、薄暗い舞台で揺るぎない世界を作り出していて、歌も、ギターも、心に染み込んでくるようでした。

ガロティン

出演:沖真悠子、岡村友美、荒濱早絵、JURINA、小澤明日美、吉田芽生、池野美結、山崎桃子、池内亜美、池田遥香、高嶋朋愛、宇佐美瑛琉
総勢
12名による豪華絢爛なガロティン。足の打ち方も振りもしっかり合っていたのはさすがです! 足の上げ方が違う人もいたりしましたが、いつも踊っているフリが出ちゃうんだろうな…なんて思うと、つい微笑ましくなってしまうんですね。
気取らずにそれぞれが自分の好きなフラメンコを踊る。それもこの公演の魅力であり、それがよく出ていた演目でした!

ロマンセ/瀬戸口琴葉

当日お昼に恵比寿でライブをこなしてから会場に駆けつけたという琴葉さんは、椅子を使ったロマンセに挑戦。開演前のコメントは「数年前にクルシージョで習って以来頭に染みついていたロマンセにチャレンジします。今まで勇気がなくて手を出せませんでしたが、タブラオのライブとはまた違った雰囲気に出来たらと、毎日グルグル考えています。見てくださる方の記憶に少しでも残るようなものになるよう、一生懸命頑張ります」。
物語のような起承転結を心がけて構成したとのことで、確かに、椅子に座って静かに始まり、圧のある音に翻弄され、しかし早く強い足を打ちやがて融合していく――そんな流れが感じられました。途中、歌振りのところでは何かを語りかけているようにも見え、これからの進化に期待したい一曲でした。

アレグリアス/久保田晴菜

もうね、言ってしまいます。「ボス」の登場です。この気迫、存在感、圧倒感、そして美しさは「ボス」以外の何者でもないでしょう。広いホールであっても眼前にいるような迫力は、晴菜さんならではです。自由に、優雅に舞うマントン。美しい生き物の鼓動のように跳ね上がるバタ・デ・コーラ。さにら大好きな桂子さんの2歌! もう観ていて泣きそうになりました。ソロのラストを飾るにふさわしい、見ごたえと風格に満ちたアレグリアスでした!

ルス・イ・エスペランサ ~希望 そして光の中へ~/エンディング

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ラストは全員で踊るセビジャーナス。この期に及んで知り合いを探すなんて野暮なこと。明るく鳴り響くパルマと、気高く鳴る足音に包まれた彼らは、全員が素晴らしいアーティストであり、フラメンカでした!

若い熱とフラメンコへの想いでホールがいっぱいになった公演は、無事に終了しました。最後に降りた幕が再び上がり、晴菜さん、出演者の方々が挨拶をする間、ずっと拍手が鳴り響いていました。

拍手は今も、鳴り響いています。僕の胸の中で。

本当に素晴らしい公演でした。ホールでのフラメンコの公演は、たいていテーマや世界観があって舞台芸術として作り込まれますが、「Pasion ~若きフラメンカたち~」はそれとは一線を画します。

細かい細工は一切なし、「これが我々が愛しているフラメンコです!」をドーンと舞台の真ん中に乗っけて、直球しかも剛速球勝負。だからわかりやすいし心に刺さる。

若い人だからこそ出来た公演だと思うし、フラメンコを観るのが初めての人を含めて、観客のほとんどは楽しみ、満足して帰途についたのではないでしょうか。

今思い出しても、舞台のみならず観客席まで、ホール全体が熱気に包まれていたように思います。これだけの公演を企画、実行し実現させた久保田晴菜さん、出演した若手の皆さん、彼らを支えたベテランアーティストの方々、そしてスタッフの皆様、ありがとうございました!沼津まで観に行ってよかったです!

どれだけ良かったかと言うと…
こんな長い記事を書いても苦にならないほどです(笑)。

さてこの公演ですが、次の日に撮影専用の日を設け、映像としてより完成度の高い動画を作成して現在配信を行っています。客席からは味わえない、息遣いまで聞こえそうな映像の数々を、クリアな音でお楽しみいただけます。

僕も視聴しましたが、あの時の興奮と感動が鮮明に蘇るだけでなく、当日はわからなかった新たな発見があったりして、公演を見た方にもオススメです!

下のリンクからPR動画が観られますので、まずはそちらをご覧になってみてください。配信を観たい!という方は、専用ページにてチケットをご購入の上ご視聴ください。

PR動画はこちら】
https://www.youtube.com/watch?v=U-WPdR9Em4o

【配信のチケットのご購入はこちら】
https://t.livepocket.jp/e/pasion

そしてぜひ!
未来を切り開く若きフラメンカたちを、応援してあげてください!

公演の映像配信は2022213()23:59まで、チケットのご購入期限は2022213()22:00までとなります。

Pasion ~若きフラメンカたち~」出演者リスト

【踊り】
久保田晴菜、ヴォダルツ・クララ、瀬戸口琴葉、佐藤陽美、脇川愛、小谷野宏司、出水宏輝、沖真悠子、岡村友美、JURINA、荒濱早絵、小澤明日美、吉田芽生、山崎桃子、池野美結、池内亜美、池田遥香、高嶋朋愛、宇佐美瑛琉 
【カンテ】
小松美保、望月恵理 
【ギター】
徳永康次郎、菅沼聖隆、福嶋隆児、本田生海 
【カホン】
坂本弘輝

●ゲストアーティスト
【カンテ】
川島桂子、永潟三貴生 
【ギター】
尾藤大介 
【バイオリン】
三木重人  
【パーカッション】
朱雀はるな